雪のおもしろう降りたりし朝・徒然草 現代語訳・品詞分解

雪のおもしろう降りたりし朝、人のがり言ふべきことありて、
雪がすばらしく降っていた朝、ある人のもとへ言ってやるべき用事があって、
・雪 … 名詞
・の … 格助詞
・おもしろう … ク活用の形容詞「おもしろし」の連用形
おもしろしすばらしい
・降り … ラ行四活用の動詞「降る」の連用形
・たり … 存続の助動詞「たり」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形
・朝(あした) … 名詞
・人 … 名詞
・の … 格助詞
・がり … 名詞
がりもと
・言ふ … ハ行四活用の動詞「言ふ」の終止形
・べき … 当然の助動詞「べし」の連体形
・こと … 名詞
・あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形
・て … 接続助詞

文をやるとて、雪のこと何とも言はざりし返り事に、
手紙を出すときに、雪のことを何とも言わなかった返事に、
・文(ふみ) … 名詞
手紙
・を … 格助詞
・やる … ラ行四活用の動詞「やる」の終止形
〇やる~送る
・とて … 格助詞
・雪 … 名詞
・の … 格助詞
・こと … 名詞
・何 … 代名詞
・と … 格助詞
・も … 係助詞
・言は … ハ行四活用の動詞「言ふ」の未然形
・ざり … 打消の助動詞「ず」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形
・返り事 … 名詞
・に … 格助詞

「この雪いかが見ると、一筆のたまはせぬほどの、
「この雪をどのように見るかと、一言もおっしゃらない程度の、
・こ … 代名詞
・の … 格助詞
・雪 … 名詞
・いかが … 副詞
いかがどのように…か
・見る … マ行上一活用の動詞「見る」の連体形
・と … 格助詞
・一筆(ひとふで) … 名詞
・のたまは … ハ行四活用の動詞「のたまふ」の未然形
のたまふ「言ふ」の尊敬語 ⇒ 手紙の返事の筆者から作者(兼好)への敬意
・せ … 尊敬の助動詞「す」の未然形
・ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形
・ほど … 名詞
ほど程度
・の … 格助詞

ひがひがしからん人の仰せらるること、聞き入るべきかは。
素直でないような人のおっしゃることを、聞き入れることができましょうか。
・ひがひがしから … シク活用の形容詞「ひがひがし」の未然形
〇ひがひがし~素直でない
・ん … 婉曲の助動詞「ん」の連体形
・人 … 名詞
・の … 格助詞
・仰(おお)せ … サ行下二活用の動詞「仰す」の未然形
仰す「言ふ」の尊敬語 ⇒ 手紙の返事の筆者から作者(兼好)への敬意
・らるる … 尊敬の助動詞「らる」の連体形
・こと … 名詞
・聞き入る … ラ行下二活用の動詞「聞き入る」の終止形
・べき … 可能の助動詞「べし」の連体形
・かは … 係助詞・反語

かへすがへす口惜しき御心なり。」と言ひたりしこそ、をかしかりしか。
つくづく残念な御心です。」と言っていたのは、おもしろかった。
・かへすがへす … 副詞
〇かへすがへす~つくづく
・口惜しき … シク活用の形容詞「口惜し」の連体形
口惜し残念だ
・御心(みこころ) … 名詞
・なり … 断定の助動詞「なり」の終止形
・と … 格助詞
・言ひ … ハ行四活用の動詞「言ふ」の連用形
・たり … 完了の助動詞「たり」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形
・こそ … 係助詞・強調
・をかしかり … シク活用の形容詞「をかし」の連用形
をかしおもしろい
・しか … 過去の助動詞「き」の已然形(結び)

今は亡き人なれば、かばかりのことも忘れ難し。
今は亡くなった人だから、この程度のことも忘れられない。
・今 … 名詞
・は … 係助詞
・亡き … ク活用の形容詞「亡し」の連体形
・人 … 名詞
・なれ … 断定の助動詞「なり」の已然形
・ば … 接続助詞
・かばかり … 副詞
〇かばかり~この程度の
・の … 格助詞
・こと … 名詞
・も … 係助詞
・忘れ難し … ク活用の形容詞「忘れ難し」の終止形

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