[ 解説 ]
・題名 … 香炉峰下、新卜山居草堂初成、偶題東壁
・作者 … 白居易(はくきよい)
・詩形 … 七言律詩(しちごんりっし)
・押韻(おういん) … 寒、看、官、安
[ 現代語訳・書き下し文・原文 ]
香炉峰下、
香炉峰下、
香炉峰のふもとに、
・下(か) … ふもと
新卜山居
新たに山居を卜し
新しく山中に家を建てるために土地を占って吉凶を定め
・山居(さんきょ)を卜(ぼく)す … 山中に家を建てるために土地を占って吉凶を定める
草堂初成、
草堂初めて成り、
粗末な家が完成したばかりの時に、
・草堂(そうどう) … 草ぶきの粗末な家
・初〜 … 〜したばかり
偶題東壁
偶東壁に題す
ふと思いついて東の壁に詩を書きつける
・偶(たまたま) … ふと思いついて
・題(だい)す … 詩を書きつける
日高睡足猶慵起
日高く睡り足りて猶ほ起くるに慵し
日は高く睡眠は十分なのに、なお起きるのが億劫である。
・慵(ものう)し … おっくうである
小閣重衾不怕寒
小閣に衾を重ねて寒を怕れず
小さな家で掛け布団を重ねて寝るので寒さの心配は無い。
・小閣(しょうかく) … 小さな二階家
・衾(きん) … 掛け布団
・怕(おそ)る … 恐れる
遺愛寺鐘欹枕聴
遺愛寺の鐘は枕を欹てて聴き
遺愛寺の鐘は音は枕を傾け高くしてじっと聞き、
・欹(そばだ)つ … 枕を傾けて高くする
・聴(き)く … じっと聞く
香炉峰雪撥簾看
香炉峰の雪は簾を撥げて看る
香炉峰の雪景色は簾をはね上げて眺める。
・撥(かか)ぐ … はね上げる
・看(み)る … 眺める
匡廬便是逃名地
匡廬は便ち是れ名を逃るるの地
廬山こそは世俗の名利を避けて暮らすのに適した土地で、
・A便是〜 … Aこそ〜である
読み「Aすなわチこレ〜」
・名を逃るるの地 … 世俗の名利を避けて暮らすのに適した土地
司馬仍為送老官
司馬は仍ほ老を送るの官たり
司馬はやはり余生を送るのに適した官である。
・A仍為〜 … Aはやはり〜である
読み「Aなホ〜タリ」
・老を送るの官 … 余生を送るのに適した官
心泰身寧是帰処
心泰く身寧きは是れ帰する処
心も身も安らかで落ち着ける所こそが安住の地であり、
・泰(やす)し … 安らかである
・寧(やす)し … 安らかである
・帰する処 … 安住の地
故郷何独在長安
故郷何ぞ独り長安のみに在らんや
故郷はどうしてただ長安だけに限られるだろうか。
・何独〜 … どうしてただ〜だけであろうか
読み「なんゾひとリ〜」
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