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         [ 解説 ]

・題名 … 登高(とうこう)
・作者 … 杜甫(とほ)
・詩形 … 七言律詩
・押韻(おういん) … 哀、廻、来、台、杯
・対句 … 「風急天高猿嘯哀」と「渚清沙白鳥飛廻」
     「無辺落木蕭蕭下」と「不尽長江滾滾来」
     「万里悲秋常作客」と「百年多病独登台」
     「艱難苦恨繁霜鬢」と「潦倒新停濁酒杯」
・主題 … 重陽の節句にひとり高台に登り晩秋の風景を眺めながら、孤独で多病で老いぼれていく我が身を嘆いている。


    [ 現代語訳・書き下し文・原文 ]

登高
登高
登高
・登高(とうこう) … 重陽の節句に厄払いのために丘・高台などに登ること

風急天高猿嘯哀
風急に天高くして猿嘯哀し
風は激しく吹き、空は高く澄んで、猿の鳴き声が悲しく聞こえる。
・猿嘯(えんしょう) … 猿の鳴き声

渚清沙白鳥飛廻
渚清く沙白くして鳥飛び廻る
岸辺は清らかで、砂は白く、鳥が輪を描いて飛んでいる。
・渚(なぎさ) … 岸辺
・沙(すな) … 砂

無辺落木蕭蕭下
無辺の落木は蕭蕭として下り
見渡す限り続く落葉樹の林では落ち葉がさらさらと散り、
・無辺(むへん) … 見渡す限り果てしないこと
・落木(らくぼく) … 落葉樹
・蕭蕭(しょうしょう) … 木の葉が落ちるさま

不尽長江滾滾来
不尽の長江は滾滾として来たる
尽きることのない長江の水が盛んに流れてくる。
・不尽(ふじん) … 尽きることがないこと
・滾滾(こんこん) … 水が盛んに流れるさま

万里悲秋常作客
万里悲秋常に客と作り
故郷を遠く離れて迎える悲しい秋、いつも旅人の身であり、
・客(かく) … 旅人

百年多病独登台
百年多病独り台に登る
一生病気がちの身で、ひとり高台に登っている。
・百年 … 人の一生

艱難苦恨繁霜鬢
艱難苦だ恨む繁霜の鬢
苦労を重ねたため霜のように白くなったびんの毛がひどく恨めしい。
・艱難(かんなん) … 大変な苦労
・苦(はなは)だ … ひどく
・繁霜(はんそう) … たくさん降りた霜

潦倒新停濁酒杯
潦倒新たに停む濁酒の杯
老いぼれ落ちぶれて、近頃では濁り酒もやめてしまった。
・潦倒(ろうとう) … 年老いて、うらぶれること
・新たに停(とど)む … つい最近やめた


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