[ 解説 ]
・題名 … 春望(しゅんぼう)
・作者 … 杜甫(とほ)
・詩形 … 五言律詩(ごごんりっし)
・押韻(おういん) … 深、心、金、簪
[ 現代語訳・書き下し文・原文 ]
春望
春望
春の日の眺め
国破山河在
国破れて山河在り
国都は破壊されたが、山や河は昔のまま存在している。
・国破る … 国都が破壊される
城春草木深
城春にして草木深し
まちは春になって、草や木が生い茂っている。
・城 … 城壁で囲まれた都市
感時花濺涙
時に感じては花にも涙を濺ぎ
時世に心を動かしては、花にもはらはらと涙をこぼし、
・時に感ず … 時世に心を動かす
・涙を濺(そそ)ぐ … はらはらと涙をこぼす
恨別鳥驚心
別れを恨みては鳥にも心を驚かす
家族との別れを嘆き悲しんでは、鳥の声にもはっとする。
・別れを恨む … 家族との別れをいたみ悲しむ
・心を驚かす … はっとする
烽火連三月
烽火三月に連なり
のろしは春三月になってもやまずに続いており、
・烽火(ほうか) … のろし
・三月に連なる … 春三月になってもやまずに続いている
家書抵万金
家書万金に抵たる
家族からの手紙は万金の値打ちがある。
・家書(かしょ) … 家族からの手紙
・抵(あ)たる … 相当する
白頭掻更短
白頭掻けば更に短く
白髪の頭をかきむしると、頭髪がさらに短くなっていて、
・掻(か)く … かきむしる
渾欲不勝簪
渾べて簪に勝へざらんと欲す
まったくかんざしも挿せなくなりそうだ。
・渾(す)べて … まったく
・簪(しん) … かんざし
・勝(た)ふ … 耐える
・欲〜 … 〜になりそうだ、読み「ほっス」
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