[ 解説 ]
・題名 … 山亭夏日(さんていのかじつ)
・作者 … 高駢(こうべん)
・詩形 … 七言絶句
・押韻(おういん) … 長、塘、香
・主題 … 山中の別荘における夏の日中のさわやかな風物を視覚・聴覚・嗅覚でとらえている。
[ 現代語訳・書き下し文・原文 ]
山亭夏日
山亭の夏日
山荘の夏の日
・山亭(さんてい) … 山中の別荘
緑樹蔭濃夏日長
緑樹蔭濃やかにして夏日長し
緑の樹木は濃い日蔭をつくり、夏の日は長い。
楼台倒影入池塘
楼台影を倒にして池塘に入る
高殿は、姿を逆さまにして池の水に映っている。
・楼台(ろうだい) … 高殿
・影 … 水に映った姿
・倒(さかしま)に … 逆さまに
・池塘(ちとう) … 池
水精簾動微風起
水精の簾動きて微風起こり
水晶のすだれが動いて、そよ風が吹きはじめ、
・水精(すいしょう)の簾(れん) … 水晶のすだれ
満架薔薇一院香
満架の薔薇一院香し
棚いっぱいに咲いたバラの香りが庭全体に漂っている。
・満架(まんか) … 棚いっぱい
・薔薇(しょうび) … バラの花
・一院 … 庭中
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