吉田と申す馬乗り・徒然草

吉田と申す馬乗りの申し侍りしは、
吉田と申す馬乗りの申しましたのは、
・吉田 … 名詞
・と … 格助詞
・申す … サ行四段活用の動詞「申す」の連体形
・馬乗り … 名詞
・の … 格助詞
・申し … サ行四段活用の動詞「申す」の連用形
・侍り … ラ行変格活用の丁寧の補助動詞「侍り」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形
・は … 係助詞

「馬ごとにこはきものなり。
「馬はどれも手ごわいものである。
・馬ごと … 名詞
・に … 格助詞
・こはき … ク活用の形容詞「こはし」の連体形
○こはし … 手ごわい
・もの … 名詞
・なり … 断定の助動詞「なり」の終止形

人の力、争ふべからずと知るべし。
人の力は、張り合うことができないと知らなければならない。
・人 … 名詞
・の … 格助詞
・力 … 名詞
・争ふ … ハ行四段活用の動詞「争ふ」の終止形
○争ふ … 張り合う
・べから … 可能の助動詞「べし」の未然形
・ず … 打消の助動詞「ず」の終止形
・と … 格助詞
・知る … ラ行四段活用の動詞「知る」の終止形
・べし … 当然の助動詞「べし」の終止形

乗るべき馬をば、まづよく見て、
乗ることになっている馬を、まず十分に観察して、
・乗る … ラ行四段活用の動詞「乗る」の終止形
・べき … 予定の助動詞「べし」の連体形
・馬 … 名詞
・を … 格助詞
・ば … 係助詞
・まづ … 副詞
・よく … ク活用の形容詞「よし」の連用形
○よく … 十分に
・見 … マ行上一段活用の動詞「見る」の連用形
・て … 接続助詞

強きところ、弱きところを知るべし。
強いところ、弱いところを知らなければならない。
・強き … ク活用の形容詞「強し」の連体形
・ところ … 名詞
・弱き … ク活用の形容詞「弱し」の連体形
・ところ … 名詞
・を … 格助詞
・知る … ラ行四段活用の動詞「知る」の終止形
・べし … 当然の助動詞「べし」の終止形

次に、轡・鞍の具に、あやふきことやあると見て、
次に、轡・鞍のような馬具に、危険なことがあるかと調べてみて、
・次に … 副詞
・轡(くつわ) … 名詞
・鞍(くら) … 名詞
・の … 格助詞
・具 … 名詞
・に … 格助詞
・あやふき … ク活用の形容詞「あやふし」の連体形
○あやふし … 危険である
・こと … 名詞
・や … 係助詞・疑問
・ある … ラ行変格段活用の動詞「あり」の連体形
・と … 格助詞
・見 … マ行上一段活用の動詞「見る」の連用形
・て … 接続助詞

心にかかることあらば、その馬を馳すべからず。
気になることがあれば、その馬を走らせてはならない。
・心 … 名詞
・に … 格助詞
・かかる … ラ行四段活用の動詞「かかる」の連体形
○心にかかる … 気にかかる
・こと … 名詞
・あら … ラ行変格段活用の動詞「あり」の未然形
・ば … 接続助詞
・そ … 代名詞
・の … 格助詞
・馬 … 名詞
・を … 格助詞
・馳(は)す … サ行下二段活用の動詞「馳す」の終止形
○馳す … 走らせる
・べから … 当然の助動詞「べし」の未然形
・ず … 打消の助動詞「ず」の終止形

この用意を忘れざるを、馬乗りとは申すなり。
この心遣いを忘れない者を、馬乗りと申すのです。
・こ … 代名詞
・の … 格助詞
・用意 … 名詞
○用意 … 心遣い
・を … 格助詞
・忘れ … ラ行下二段活用の動詞「忘る」の未然形
・ざる … 打消の助動詞「ず」の連体形
・を … 格助詞
・馬乗り … 名詞
・と … 格助詞
・は … 係助詞
・申す … サ行四段活用の動詞「申す」の連体形
・なり … 断定の助動詞「なり」の終止形

これ秘蔵のことなり。」と申しき。
これが秘訣である。」と申しました。
・これ … 代名詞
・秘蔵(ひそう) … 名詞
・の … 格助詞
・こと … 名詞
○秘蔵のこと … 秘訣
・なり … 断定の助動詞「なり」の終止形
・と … 格助詞
・申し … サ行四段活用の動詞「申す」の連用形
・き … 過去の助動詞「き」の終止形

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