盗人入りしあと・上田秋成

五月雨晴れ間なき夜に、ほととぎすやおとづるると、
五月雨が降って晴れ間のない夜に、ほととぎすが訪れるだろうかと、
・なき … ク活用の形容詞「なし」の連体形
 … 係助詞・疑問
・おとづるる … 下二段活用の動詞「おとづる」の連体形(結び)

軒の雫を数ふるとはなしに起きゐつるを、いつの間にうまいしにけり。
軒の雨だれ雫を数えるともなく起きていたが、いつの間にかぐっすり眠ってしまった。
・数ふる … 下二段活用の動詞「数ふ」の連体形
・なし … ク活用の形容詞「なし」の終止形
・起きゐ … 上一段活用の補助動詞「起きゐる」の連用形
・つる … 完了の助動詞「つ」の連体形
・し … サ行変格活用の動詞「す」の連用形
・に … 完了の助動詞「ぬ」の連用形
・けり … 過去の助動詞「けり」の終止形

短夜なれば明けはなれたり。
短い夜なので、すっかり夜が明けていた。
・なれ … 断定の助動詞「なり」の已然形
・明けはなれ … 下二段活用の動詞「明けはなる」の連用形
・たり … 存続の助動詞「たり」の終止形

いぎたなき目をすりつつ見れば、南の遣戸は鎖さでぞおきし。
覚めようとしない目をこすりながら見ると、南側の引き戸は閉めないままにしていた。
・いぎたなき … ク活用の形容詞「いぎたなし」の連体形
・すり … 四段活用の動詞「する」の連用形
・見れ … 上一段活用の動詞「見る」の已然形
・鎖さ … 四段活用の動詞「鎖す」の未然形
 … 係助詞・強調
・おき … 四段活用の動詞「おく」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形(結び)

明かり障子さへ隙細う開けたり。
明かり障子までも隙間を細く開けていた。
・細う … ク活用の形容詞「細し」の連用形(ウ音便)
・開け … 下二段活用の動詞「開く」の連用形
・たり … 存続の助動詞「たり」の連用形

よくも風邪ひかざりしとて、やをら開け放ちて見れば、いとあやし、
よくもまあ風邪を引かなかったことよと思って、そっと開け放って見ると、とても不思議である、
・ひか … 四段活用の動詞「ひく」の未然形
・ざり … 打消の助動詞「ず」の連用形
・開け放ち … 四段活用の動詞「開け放つ」の連用形
・見れ … 上一段活用の動詞「見る」の已然形
・あやし … シク活用の形容詞「あやし」の終止形

簀子の上に人の足の跡の泥に染みて所々つきたるを、なほ見めぐらすれば、
濡れ縁の上に人の足跡が泥に染まってあちこちに付いているので、さらに見まわすと、
・染み … 四段活用の動詞「染む」の連用形
・つき … 四段活用の動詞「つく」の連用形
・たる … 存続の助動詞「たり」の連体形
・見めぐらすれ … 下二段活用の動詞「見めぐらす」の已然形

わが枕辺あと辺にも、あまたいみいみしく染みつきたり。
私の枕元や足のほうにも、たくさん忌まわしく染みついていた。
・いみいみしく … シク活用の形容詞「いみいみし」の連用形
・つき … 四段活用の動詞「つく」の連用形
・たり … 存続の助動詞「たり」の終止形

鬼の来たりしにやと、胸うち騒がれて、と見かう見、
鬼がやって来たのだろうかと、心から平静さが失われて、ああ見こう見て、
・来 … カ行変格活用の動詞「来」の連用形
・たり … 完了の助動詞「たり」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形
・に … 断定の助動詞「なり」の連用形
・うち騒が … 四段活用の動詞「うち騒ぐ」の未然形
・れ … 自発の助動詞「る」の連用形
・見 … 上一段活用の動詞「見る」の連用形
・見 … 上一段活用の動詞「見る」の連用形

いづ方よりにやと、ほどなき庭を見やりたれば、
どこから入ったのだろうかと、狭い庭に目を向けたところ、
・に … 断定の助動詞「なり」の連用形
・ほどなき … ク活用の形容詞「ほどなき」の連体形
・見やり … 四段活用の動詞「見やる」の連用形
・たれ … 完了の助動詞「たり」の已然形

築垣の土こぼれて、童部の踏みあけたるばかりなるままに、
土塀の土が崩れて、子供たちが踏んで道をつけたばかりである、その土がそのまま、
・こぼれ … 下二段活用の動詞「こぼる」の連用形
・踏みあけ … 下二段活用の動詞「踏みあく」の連用形
・たる … 存続の助動詞「たり」の連体形
・なる … 断定の助動詞「なり」の連体形

雨に掘りただよはされて、にはたづみに流れ合ひたる。
雨に掘られ不安定な状態にされて、雨でできた水たまりに流れ込んでいる。
・掘りただよはさ … 四段活用の動詞「掘りただよはす」の未然形
・れ … 受身の助動詞「る」の連用形
・流れ合ひ … 四段活用の動詞「流れ合ふ」の連用形
・たる … 存続の助動詞「たり」の連体形

こは盗人や入りつ。庵ながら奪ひ持て去るとも惜しからぬを、
これは盗人が入ったのか。庵をそのまま奪い持ち去っても惜しくはないが、
・入り … 四段活用の動詞「入る」の連用形
・つ … 完了の助動詞「つ」の終止形
・奪ひ … 四段活用の動詞「奪ふ」の連用形
・持て去る … 四段活用の動詞「持て去る」の終止形
・惜しから … シク活用の形容詞「惜し」の未然形
・ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形

命得させしこそうれしけれと、やうやく心落ちゐぬ。
命を奪わなかったのはうれしいことよと、しだいに心が落ち着いてきた。
・得 … 下二段活用の動詞「得」の未然形
・させ … 使役の助動詞「さす」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形
こそ … 係助詞・強調
・うれしけれ … シク活用の形容詞「うれし」の已然形(結び)
・落ちゐ … 上一段活用の動詞「落ちゐる」の連用形
・ぬ … 完了の助動詞「ぬ」の終止形

柳葛籠こ一つあるを開けて、なれ衣一重二重あばき散らしつつ、物はありやと探りつらん。
柳葛籠が一つあるのを開けて、着なれた服一枚二枚を取り出し散らかしながら、何かあるかと探したのだろう。
・ある … ラ行変格活用の動詞「あり」の連体形
・開け … 下二段活用の動詞「開く」の連用形
・あばき散らし … 四段活用の動詞「あばき散らす」の連用形
・あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の終止形
・探り … 四段活用の動詞「探る」の連用形
・つ … 完了の助動詞「つ」の終止形
・らん … 現在推量の助動詞「らん」の終止形

これとりて行かざりしぞ、かへりては、恥あることにおぼゆ。
衣服を盗んでいかなかったのは、かえって、恥ずかしいことに思われる。
・とり … 四段活用の動詞「とる」の連用形
・行か … 四段活用の動詞「行く」の未然形
・ざり … 打消の助動詞「ず」の連用形
・ある … ラ行変格活用の動詞「あり」の連体形
・おぼゆ … 下二段活用の動詞「おぼゆ」の終止形

何も何もありしままなるは、彼にだにあなづらるることのいと口惜し。
どれもこれも以前のままなのは、盗人にさえ侮られたことになり、とても情けない。
・あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形
・なる … 断定の助動詞「なり」の連体形
・あなづら … 四段活用の動詞「あなづる」の未然形
・るる … 受身の助動詞「る」の連体形
・口惜し … シク活用の形容詞「口惜し」の終止形

足の跡むさむさしきを、かい拭き掃きやるとて、ふと見たれば、机の上に紙一ひら広げて、
足跡の汚らしいのを、拭いたり掃き出したりしようとして、ふと見たところ、机の上に紙を一枚広げて、
・むさむさしき … シク活用の形容詞「むさむさし」の連体形
・かい拭き … 四段活用の動詞「かい拭く」の連用形
・掃きやる … 四段活用の動詞「掃きやる」の終止形
・見 … 上一段活用の動詞「見る」の連用形
・たれ … 完了の助動詞「たり」の已然形
・広げ … 下二段活用の動詞「広ぐ」の連用形

狐などが書きすさびたるやうに、墨つきしどろにて、何事をか書いつけたり。
狐などが気ままに書いたように、筆跡が乱雑であって、何事か書きつけてある。
・書きすさび … 四段活用の動詞「書きすさぶ」の連用形
・たる … 完了の助動詞「たり」の連体形
・やうに … 比況の助動詞「やうなり」の連用形
・しどろに … 形容動詞「しどろなり」の連用形
・書いつけ … 下二段活用の動詞「書いつく」の連用形(イ音便)
・たり … 存続の助動詞「たり」の終止形

あやしう、取りて見れば文なり。
不思議に思って、手に取って見ると手紙である。
・あやしう … シク活用の形容詞「あやし」の連用形(ウ音便)
・取り … 四段活用の動詞「取る」の連用形
・見れ … 上一段活用の動詞「見る」の已然形
・なり … 断定の助動詞「なり」の終止形

「今宵の雨にたち濡れつつ、宿りがてら押し入りたるに、
「今宵の雨に立っていて濡れながら、雨宿りを兼ねて押し入ったところ、
・たち濡れ … 下二段活用の動詞「濡る」の連用形
・宿り … 四段活用の動詞「宿る」の連用形
・押し入り … 四段活用の動詞「押し入る」の連用形
・たり … 完了の助動詞「たり」の終止形

我ともの盗みして、夜に這ひ隠るるは、理なるものの、
自分から盗みをはたらいて、夜にこっそり隠れているのは、当然なんだが、
・し … サ行変格活用の動詞「す」の連用形
・這ひ隠るる … 下二段活用の動詞「這ひ隠る」の連体形
・理なる … 形容動詞「理なり」の連体形

かうまで貧しくておはさんとは、思ひかけずぞありし。
こうまで貧しくていらっしゃるとは、思いも寄らないことだった。
・貧しく … シク活用の形容詞「貧し」の連用形
・おはさ … 四段活用の動詞「おはす」の未然形
おはす … 「あり」の尊敬語
       ⇒ 盗人から作者への敬意

・ん … 推量の助動詞「ん」の終止形
・思ひかけ … 下二段活用の動詞「思ひかく」の未然形
・ず … 打消の助動詞「ず」の連用形
 … 係助詞・強調
・あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形(結び)

銭金のあらぬのみかは、米だに一升だもあらで、明日の煙は何をたよりにとや。
銭金がないばかりか、米すら一升さえもなくて、明日からの生活はどうするつもりなのか。
・あら … ラ行変格活用の動詞「あり」の未然形
・ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形
・あら … ラ行変格活用の動詞「あり」の未然形

ほかの家にてとりきたる物だにあらば、得させんを、
ほかの家で盗んできた物でもあれば、与えようと思うが、
・とりき … カ行変格活用の動詞「とりく」の連用形
・たる … 存続の助動詞「たり」の連体形
・あら … ラ行変格活用の動詞「あり」の未然形
・得 … 下二段活用の動詞「得」の未然形
・させ … 使役の助動詞「さす」の未然形
・ん … 意志の助動詞「ん」の連体形

わが手のむなしきは、あるじが幸ひなきなり。
私の手もとに何もないのは、家主に運がないのである。
・むなしき … シク活用の形容詞「むなし」の連体形
・なき … ク活用の形容詞「なし」の連体形
・なり … 断定の助動詞「なり」の終止形

歌はすきて詠むにや、ほととぎす待ち顔なることを書きも終はらで、寝たるよ。
歌は好んで詠むのだろうか、ほととぎすを待っている様子であることを書き終えもしないで、寝てしまったことよ。
・すき … 四段活用の動詞「すく」の連用形
・詠む … 四段活用の動詞「詠む」の連体形
・に … 断定の助動詞「なり」の連用形
・なる … 断定の助動詞「なり」の連体形
・書き … 四段活用の動詞「書く」の連用形
・終はら … 四段活用の動詞「終はる」の未然形
・寝 … 下二段活用の動詞「寝」の連用形
・たる … 完了の助動詞「たり」の連体形

  深き夜の雨にまどへるしのび音を
  深夜の雨に迷っているほととぎすの忍び音を
  ・深き … ク活用の形容詞「深し」の連用形
  ・まどへ … 四段活用の動詞「まどふ」の命令形
  ・る … 存続の助動詞「り」の連体形

我これに継がん。
私がこれに下の句を続けよう。
・継が … 四段活用の動詞「継ぐ」の未然形
・ん … 意志の助動詞「ん」の終止形

  やよほととぎすふた声は鳴け
  おい、ほととぎすよ、ふた声は鳴いてくれ。
  ・鳴け … 四段活用の動詞「鳴く」の命令形

しのび音と詠めるこそ、我、夜に隠れてあぶれ歩くをいふよ。
「しのび音」と詠んであるのは、私が、夜に隠れて落ちぶれ歩き回るのを言っているよ。
・詠め … 四段活用の動詞「詠む」の命令形
・る … 存続の助動詞「り」の連体形
・隠れ … 下二段活用の動詞「隠る」の連用形
・あぶれ歩く … 四段活用の動詞「あぶれ歩く」の連体形
・いふ … 四段活用の動詞「いふ」の連体形

昔はかかる遊びを庭の教へにて習ひしが、
昔はこんな遊びを親からの教育として習ったが、
・かかる … ラ行変格活用の動詞「かかり」の連体形
・習ひ … 四段活用の動詞「習ふ」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形

酒といふ悪しき友に誘はれて、よからぬをこわざして、
酒という悪い友人に誘われて、道理にはずれた愚かな行為をして、
・いふ … 四段活用の動詞「いふ」の連体形
・悪しき … シク活用の形容詞「悪し」の連体形
・誘は … 四段活用の動詞「誘ふ」の未然形
・れ … 受身の助動詞「る」の連用形
・よから … ク活用の形容詞「よし」の未然形
・ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形
・し … サ行変格活用の動詞「す」の連用形

あやしき命を今日ばかりはとのがれ歩くぞ。」と、鬼々しく書い散らしたり。
取るに足りない命をせめて今日だけはと思い逃げ回っているのだよ。」と、荒々しく書き散らしてある。
・あやしき … シク活用の形容詞「あやし」の連体形
・のがれ歩く … 四段活用の動詞「のがれ歩く」の終止形
・鬼々しく … シク活用の形容詞「鬼々し」の連用形
・書い散らし … 四段活用の動詞「書い散らす」の連用形(イ音便)
・たり … 存続の助動詞「たり」の終止形

悪者の中にかかる人もありけり。
悪人の中にこんな人もいるんだなあ。
・かかる … ラ行変格活用の動詞「かかり」の連体形
・あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形
・けり … 詠嘆の助動詞「けり」の終止形

目覚めたらば、とどめてうち物語らんを、なほ外に立ちてありわびやすと、
目覚めていたら、引きとめて話したかったのに、今も外に立って行く先もなく困っているのではないかと、
・覚め … 下二段活用の動詞「覚む」の連用形
・たら … 存続の助動詞「たり」の未然形
・とどめ … 下二段活用の動詞「とどむ」の連用形
・うち物語ら … 四段活用の動詞「うち物語る」未然
・ん … 意志の助動詞「ん」の連体形
・立ち … 四段活用の動詞「立つ」の連用形
・ありわび … 上二段活用の動詞「ありわぶ」の連用形
・す … サ行変格活用の動詞「す」の終止形

竹の戸開けて見送りたれど、跡求むべくもあらず。
竹の戸を開けて後ろ姿を探したが、行方を求めることはできそうにもない。
・開け … 下二段活用の動詞「開く」の連用形
・見送り … 四段活用の動詞「見送る」の連用形
・たれ … 完了の助動詞「たり」の已然形
・求む … 下二段活用の動詞「求む」の終止形
・べく … 可能の助動詞「べし」の連用形
・あら … ラ行変格活用動詞「あり」の未然形
・ず … 打消の助動詞「ず」の終止形

魂合へる友をあるじもせで帰したる心地なんせらる。
心の通っている友人をもてなしもしないで帰してしまったような気持ちが自然にしてくる。
・魂合へ … 四段活用の動詞「魂合ふ」の命令形
・る … 存続の助動詞「り」の連体形
・せ … サ行変格活用の動詞「す」の未然形
・帰し … 四段活用の動詞「帰す」の連用形
・たる … 完了の助動詞「たり」の連体形
・せ … サ行変格活用の動詞「す」の未然形
・らる … 自発の助動詞「らる」の終止形

さてあるべくもあらねば、入りて、埋みおきし火やあると、かいまさぐる。
そうしているわけにもいかないので、入って、埋めておいた火があるかと、指先で探してみる。
・ある … ラ行変格活用の動詞「あり」の連体形
・べく … 当然の助動詞「べし」の連用形
・あら … ラ行変格活用の動詞「あり」の未然形
・ね … 打消の助動詞「ず」の已然形
・入り … 四段活用の動詞「入る」の連用形
・埋みおき … 四段活用の動詞「埋みおく」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形
・ある … ラ行変格活用の動詞「あり」の連体形
・かいまさぐる … 四段活用の動詞「かいまさぐる」の終止形(イ音便)

そのあたりは、さすがに腹や寒かりけん。
あの方は、やはり腹が減っていたのだろうか。
 … 係助詞・疑問
・寒かり … ク活用の形容詞「寒し」の連用形
・けん … 過去推量の助動詞「けん」連体形(結び)

櫃の底、名残なう食らひ果てて帰りしなり。
櫃の底に、まったく後に残るものがないほどすっかり食べて帰っていた。
・名残なう … ク活用の形容詞「名残なし」の連用形(ウ音便)
・食らひ果て … 下二段活用の動詞「食らひ果つ」の連用形
・帰り … 四段活用の動詞「帰る」の連用形
・し … 過去の助動詞「き」の連体形
・なり … 断定の助動詞「なり」の終止形

ほどよきものなどありたらば、心行かせて帰さんものをと、
何か適当なものがあったなら、十分に満足させて帰したかったのにと、
・よき … ク活用の形容詞「よし」の連体形
・あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形
・たら … 完了の助動詞「たり」の未然形
・心行か … 四段活用の動詞「心行く」の未然形
・せ … 使役の助動詞「す」の連用形
・帰さ … 四段活用の動詞「帰す」の未然形
・ん … 意志の助動詞「ん」の連体形

竈くゆらせつつ思ふは、をかしの今朝の寝覚めなりけり。
竈に煙を立ちのぼらせながら思うのは、おもしろい今朝の目覚めだったなあ。
・くゆら … 四段活用の動詞「くゆる」の未然形
・せ … 使役の助動詞「す」の連用形
・思ふ … 四段活用の動詞「思ふ」の連体形
・をかし … シク活用の形容詞「をかし」の終止形
・なり … 断定の助動詞「なり」の連用形
・けり … 詠嘆の助動詞「けり」の終止形